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わかりやすい文章の書き方基本ガイド|即実践可能!シンプルな22のルール

わかりやすい文章の書き方基本ガイド
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私たちは、日常のコミュニケーションツールとして「文章」を使います。会社でのメールのやり取りや報告書で文章を書く人もいれば、ライターとしてWeb記事の原稿を書いている人もいるでしょう。

中には、このような経験がある人もいるのではないでしょうか。

  • 上司から報告書がわかりにくいといわれ、何度も書き直しをした
  • 取引先にメールを送ったが、意図が理解してもらえず、結局電話した
  • 副業でライターをしているが、文法事項のFBを受けて修正した

自分では「わかっている」つもりの文章が、相手に伝わらないことは、誰にでも経験があると思います。

文章がわかりにくくて相手に伝わらないのには、原因があります

この記事では、教育業界や金融メディアで「わかりやすく伝える」「正しく伝える」ことについてのノウハウを蓄積してきた筆者が、「わかりやすい文章」を書くための「3つの視点と22のルール」について解説します。

「わかりやすい文章」とは?

「わかりやすい文章」とは、どのような文章でしょうか。ここでは、「わかりやすい文章」を次のように定義します。

一回読めば、誤解なく意味が理解できる文章

「文章」は、次の要素で構成されています。

  • 文字:あいうえお
  • 単語:文字が集まって単語になる
  • 文節:単語が集まって文節になる
  • 文:文節が集まって文になる
  • 段落:文が集まって段落になる
  • 文章:段落が集まって文章になる

「。」から次の「。」までを「文(一文)」といいます。「わかりやすい文章」かどうかは、「文(一文)」をいかにわかりやすく書くことができるかどうかにかかっています。

たとえば、次の文を見てください。

むかしむかし、70歳くらいのおじいさんと65歳くらいのおばあさんが、とある山奥に住んでおり、ある日、おじいさんは山に芝刈りにでかけ、おばあさんは川に洗濯にでかけました。

どうでしょうか?

一文がダラダラと長く、理解するのが大変だと感じたのではないでしょうか。

次のように整理してみましょう。

むかしむかし、とある山奥に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは70歳くらい、おばあさんは65歳くらいです。ある日、おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯にでかけました。

一文の情報を整理することで、「いつ」「だれが」「何をした」かがわかりやすくなったのではないでしょうか。

先述の通り、文章は「文」が集まることで構成されています。「一文」のわかりやすさが、「文章」全体のわかりやすさを左右することになります。

「一文を制するものが文章を制す」と言っても過言ではありません。

この記事では、「文(一文)」に焦点を絞り、わかりやすい文章を書くための基本的なルールについて解説します。

「わかりやすい文章の書き方」については、専門家による書籍も多数出版されています。この記事で紹介する3つの視点と22のルールは以下の基準で選定しました。

  • 多くの書籍で頻繁に指摘されている事例であること
  • 編集者である筆者が、多く経験した事例であること

参考にした書籍については、記事末尾の参考文献を参照して下さい。

わかりやすい文を書くための3つの視点

「わかりやすい文」を書くには、以下の3つの視点を意識することが最も重要です。

22のルールは、3つの視点のなかに分類されるので、まずは3つの視点を理解しておくとよいでしょう。

  • 冗長な文を避ける
  • 読みやすい表現にする
  • 正しい日本語を使う

冗長な文を避ける

「冗長な文」とは、「だらだらと長く、むだがある文」です。文は、長くなれば長くなるほど、わかりにくくなります。

長い文は、読むリズムも悪くなるため、読む気を無くす原因にもなります。

わかりやすい文にするためには、「冗長でない文の長さ」や「削るべきむだ」について理解する必要があります。

ここでは、「冗長な文を避けるための5つのルール」について解説します。

  • 一文一義を心がける
  • 一文を40~60文字程度にする
  • 主語と述語の距離を短くする
  • 不要な言葉を削る
  • 箇条書きを使う

読みやすい表現にする

文をわかりやすくするには、「読みやすくする工夫」も必要です。

「読点(、)」や「修飾語」の位置に気を配るだけで、文は劇的に読みやすくなります。

読みやすくなるということは、「何度も読み返さなくても理解できる」文になるということです。ここでは、「読みやすい表現にするための10のルール」について解説します。

  • 簡単な表現を使う
  • 修飾語を上手に使う
  • 読点の位置に気を配る
  • 主題は先に置く
  • 文の途中で主語を変えない
  • 主語や述語をまとめる
  • 「れる・られる」を使いすぎない
  • 「の」「が」の連続を避ける
  • 「もの」「こと」に頼りすぎない
  • 漢字は2~3割

正しい日本語を使う

わかりやすい文を書くには、「正しい日本語を使う」ことも重要です。しかし、文法の知識は一朝一夕で身につくものではありません。

ここでは、筆者が編集をする中で経験している「よくある誤用」のなかから、特に「これだけは注意したい」という7つのルールをピックアップしました。

  • 主部と述部がねじれていないか
  • 因果関係を正しく
  • 話し言葉を使わない
  • ら抜き言葉を使わない
  • 適切な述語で受ける
  • 重ね言葉を使わない
  • 「てにをは」を正しく使う

冗長な文を避ける|5つのルール

「冗長な文」とは、「だらだらと長く、むだがある文」です。文は、長くなれば長くなるほど、わかりにくくなります。一方、わかりやすい文は、短くて言いたいことが明確です。

冗長な文を避けるための5つのルールは、以下の通りです。

  • 一文一義を心がける
  • 一文を40~60文字程度にする
  • 主語と述語の距離を短くする
  • 不要な言葉を削る
  • 箇条書きを使う

一文一義を心がける

「一文一義」とは、1つの文に1つの情報だけを書くことです。「一文一意」とも呼ばれています。

次の文を見てください。

副業をする人が増えたが、なかでもWebライターは人気がある。

この文には、2つの情報が書かれています。

  • ・業をする人が増えた
  • ・ebライターは人気がある

一文一義にするとこうなります。

副業をする人が増えた。なかでもWebライターは人気がある。

文は、情報が増えれば増えるほどわかりにくくなります。

文の基本構造は「何がどうなった」「何がどうだ」です。これがしっかりと伝わるように文を書くようにしましょう。

一文一義は、「わかりやすい文」を書くうえでの原理原則です。一文一義にすれば、大抵の課題は解決します。

こちらの記事では、一文一義について、さらに詳しい解説をしています。

一文一義とは
一文一義とは?一読で理解できる文の書き方|3つのポイントで劇的に変わる「一文一義」とは、「1つ文に1つの情報だけを書くこと」です。「一読しただけで理解することができる文章」を書く上で欠かせない、文章表現の1つです。「一文一義」はプロのライターも意識している、文章を書く上での基本です。メールや社内文書など、日常の文章作成にも活用できます。...

一文を40~60文字程度にする

文がわかりにくくなる原因の多くは、一文が長いことです。一文が長いと、内容を理解するのが難しくなります。

一文の適量は40~60文字程度と言われています。

人は文を読むとき、短期記憶と認知を組み合わせています。60文字を超えると、この2つが上手く噛み合わなくなります。

つまり、長い文は、人外の能力を持った超人にしか理解できないのです。

たとえば、新聞は一文が60文字以内になるように書かれています。情報を伝える文の適量は60文字以内と考えておきましょう。

前述の「一文一義」を意識していれば、大抵60文字以内におさまります。

ちなみに、60文字の目安は、PCの画面で1.5行程度です。

主語と述語の距離を短くする

主語と述語の距離が離れていると、文がわかりにくくなります。

次の文を見てください。

大手化粧品メーカーが、20代女性をターゲットにした、素材にこだわったオーガニックコスメを発売したことで注目を集めている。

この文の主語と述語はどれでしょうか?

  • 主語:大手化粧品メーカーが
  • 述語:注目を集めている

主語と述語の間に多くの情報が入ることで、主語と述語がわかりにくくなってしまいます。ちなみに、文字数は60文字ですが、これではわかりやすい文とは言えません。

主語と述語を近づけてみましょう。

大手化粧品メーカーが注目を集めている。20代女性をターゲットにした、素材にこだわったオーガニックコスメを発売したことが要因だ。

こうすることで、「大手化粧メーカーが注目を集めていること」と「その要因」が、わかりやすく整理されます。

不要な言葉を削る

不要な言葉とは、、、

それは、なくても意味が伝わる言葉ということです。

この場合、「それは」「という」はなくても伝わります。

不要な言葉とは、なくても意味が伝わる言葉のことです。

このような不要な言葉はたくさんありますが、見つけやすいのは次の5つです。

  • こそあど言葉
  • つなぎ言葉
  • 「という」
  • 意味のない言葉
  • 同じ言葉

こそあど言葉

こそあど言葉とは、「これ」「それ」「あれ」「どれ」などの指示語のことです。

運動不足の解消。それにはウォーキングがよい。これによって血行が良くなり、新陳代謝が促され、その結果、内臓脂肪を減らす効果が期待できる。

運動不足の解消にはウォーキングがよい。血行が良くなり、新陳代謝が促され、内臓脂肪を減らす効果が期待できる。

ほとんどのこそあど言葉は、なくても意味が伝わるので、見つけたら削ってしまって大丈夫です。文が読みやすくなります。

つなぎ言葉

「そして」「まず」「また」「さらに」などのつなぎ言葉も、多くの場合、なくても意味が伝わります。

ウォーキングは、まず、生活習慣病の予防になります。また、腰痛の改善にもつながり、さらに、ダイエット効果も期待できます。

ウォーキングは、生活習慣病の予防や腰痛の改善につながります。ダイエット効果も期待できます。

「まず」「また」「さらに」は、順番を示すときに使われますが、なくても意味が伝わる場合も多いです。

ただし、「しかし」のような逆説のつなぎ言葉は、ないと意味が伝わらなくなる場合があります。

「という」

「という」は、とても良く見かける言葉です。不要な言葉の代表格です。

ダイエットというのは、食事制限や運動によって減量するということです。

ダイエットとは、食事制限や運動によって減量することです。

「こそあど言葉」「つなぎ言葉」「という」の3つは、特に見つけやすい「不要な言葉」です。これらを削除するだけで、文はとても読みやすく、わかりやすくなります。

意味のない言葉

「意味のない言葉」とは、文を飾っているだけの言葉です。たとえば、「一般的に」や「基本的に」などです。

ただし、これらの言葉は、文脈によっては「意味がある言葉」になる場合もあります。「意味があるかどうか」の判断基準は、読む人が理解するのに必要な言葉かどうかです。

ランニングは、一般的に初心者でもはじめやすいスポーツです。

ランニングは、初心者でもはじめやすいスポーツです。

この場合、「一般的に」は読む人の理解には不要な情報です。

同じ言葉

同じ言葉が何回も出てくると、読みにくくなります。

ウォーキングの効果として、3つの効果が挙げられます。

ウォーキングの効果は、3つあります。

一文中や、近い位置に同じ言葉が出てくる場合は、省略したり、ほかの言葉に代えたりしましょう。

箇条書きを使う

どうしても文が長くなってしまう場合は、箇条書きを使うと効果的です。特に、複数の項目を並列する場合、文にするより箇条書きにする方が、読みやすくなります。

家計を節約するには、家計簿をつけて日々の収支を把握し、具体的な目標をたて、無理せず楽しく実施できる節約を行うことが重要です。

家計を節約するには、以下のポイントをおさえることが重要です。

  • 家計簿で収支を把握する
  • 具体的な目標をたてる
  • 無理せず楽しく実施する

箇条書きにすることで、視覚的にもわかりやすくなります。なお、箇条書きを使う場合、以下の点に気をつけると、さらにわかりやすくなります。

  • 品詞をそろえる
  • 長さをそろえる
  • 7項目以内にする

こちらの記事では、箇条書きの書き方について、より詳しく解説しています。

箇条書きの書き方
箇条書きの書き方ルール完全ガイド|スッキリまとめてストレスなく情報整理文章を書くときに「箇条書き」をうまく使うと、格段にわかりやすくなります。適切に箇条書きを使えるようになると、文章が読みやすくなり、読み手にストレスをあたえることがなくなります。文書やメールでのやり取りが多いビジネスパーソンにとって、箇条書きスキルは、必須スキルといえるでしょう。...

読みやすい表現にする|10のルール

文をわかりやすくするには、「読みやすくする工夫」が重要です。読みやすくなるということは、「何度も読み返さなくても理解できる」文になるということです。

読みやすい表現にするための10のルールは、以下の通りです。

  • 簡単な表現を使う
  • 修飾語を上手に使う
  • 読点の位置に気を配る
  • 主題は先に置く
  • 文の途中で主語を変えない
  • 主語や述語をまとめる
  • 「れる・られる」を使いすぎない
  • 「の」「が」の連続を避ける
  • 「もの」「こと」に頼りすぎない
  • 漢字は2~3割

簡単な表現を使う

難しい言葉や凝った表現を使うことで、かえって読みにくくなってしまう場合があります。特に、カタカナ言葉や熟語は注意が必要です。

ランニングはビギナーでもはじめやすいスポーツです。健康を維持する方法として、必要性が認識されています。

ランニングは初心者でもはじめやすいスポーツです。健康を維持する方法として、注目されています。

「悪い例」でも間違いではありませんが、「良い例」の方が、誰にでもわかる文になっているのではないでしょうか。

カタカナ語や熟語のほかに、慣用表現なども同様です。

「個性を出す」「権威を示す」などの目的で、凝った表現や難しい言葉を使う場合がありますが、読者の理解の邪魔になってしまいます。

唐の詩人「白楽天」は、自身の詩を無学な大衆に聞いてもらい、彼らにわからない言葉があると、わかる言葉に直してから発表していたそうです。

簡単な表現、平易な言葉を使うようにしましょう。

修飾語を上手に使う

文がわかりにくくなる要因の一つに、「修飾語」の使い方があります。修飾語の位置や、書く順番によって、文の読みやすさが変わってきます

修飾語を使うときに、次の2つを意識すると文がわかりやすくなります。

  • 修飾語の位置は被修飾語の直前にする
  • 修飾語は長いものから書く

修飾語の位置は被修飾語の直前にする

次の文を見てください。

私が行った運動の中で、一番ウォーキングが効果があった。

私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。

この文の修飾語は「一番」、被修飾語は「効果」です。改善例のように、「一番」を「効果」の直前に持ってくる方が、すんなりと理解できます。

読者は、文章を前から順番に読んでいくので、修飾語と被修飾語が離れていると、わかりにくくなってしまいます。

修飾語は長いものから書く

では、次の文はどうでしょうか。

ランニングは、簡単な初心者でもはじめやすいスポーツです。

修飾語は「簡単な」「初心者でもはじめやすい」の2つです。

ランニングは、初心者でもはじめやすい簡単なスポーツです。

このように修飾語が並ぶ場合、「長い→短い」の順番に書くと、読みやすくなります。

読点の位置に気を配る

読点「、」を適当に打つと、文がわかりにくくなります。

  • 読点が少なすぎる
  • 読点が多すぎる
  • 読点の位置が悪い

これらの事例は、いずれも、誤解を招く原因になります。

【読点が少なすぎる】
私が行った運動の中でウォーキングが一番効果があった。

【読点が多すぎる】
私が、行った運動の中で、ウォーキングが、一番、効果があった。

【読点の位置が悪い】
私が、行った運動の中でウォーキングが一番、効果があった。

私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。

読点を打つ位置についてのよくある誤解は、「息継ぎをする場所に打つ」「主語のあとに打つ」といったものです。読点の役割は、「意味の切れ目を明確にすること」です。

読点を打つ位置は、以下の6つの目印を目安にするとよいでしょう。

  • 長い主語・主題のあと
  • 接続詞・逆説の助詞のあと
  • 原因・理由・条件のあと
  • 状況・場面の説明のあと
  • 時間や場所が変化したとき
  • ひらがなが連続するとき

主題は先に書く

主題とは「文の中心になる内容」です。

たとえば、次の文の主題は何でしょうか?

たくさんの観光スポットがあり、飲食店が豊富で、治安がよく、交通の便がよい東京は、外国人観光客に人気がある。

この文の主題は「東京は外国人観光客に人気がある」です。主題がでてくるまでに36文字も使っています。

東京は、外国人観光客に人気がある。たくさんの観光スポットがあり、飲食店が豊富で、治安がよく、交通の便がよいからだ。

主題を前にもってくるだけで、格段にわかりやすくなります。

読者は、前から順番に文章を読んでいくため、いつまでも主題が出てこないと、何について書かれているのかがわかりません。主語や主題は早めに書くようにしましょう。

文の途中で主語を変えない

「文の途中で主語が変わる」とは、どういうことでしょうか?

次の文を見てください。

母が夕飯を作り、子どもが食べた。

一見、間違いのない文に見えますが、前半(母が夕飯を作る)と後半(子どもが食べた)で主語が変わっています。

母が夕飯を作り、子どもに食べさせた。

母に作ってもらった夕食を、子どもが食べた。

「主語+述語」の組み合わせは、一文に一組が基本です

文が長くなればなるほど、主語が変わりやすくなります。主語が「だれ(何)」なのかを常に意識しておきましょう。

主語や述語をまとめる

前述の通り、「主語+述語」の組み合わせは、一文に一組が基本です。しかし、同じ主語や述語が続く場合、省略することで文がわかりやすくなります。

【主語が同じ場合】
ランニングは、初心者でもはじめやすいスポーツです。ランニングは、女性からも人気があります。

ランニングは、初心者でもはじめやすいスポーツです。女性からも人気があります。

【熟語が同じ場合】
Aさんはサッカーが上手いし、野球も上手いし、テニスも上手い。

Aさんはサッカーも、野球も、テニスも上手い。

同じ言葉が続くと、かえって読みにくくなるので、省ける場合は省略しましょう。

「れる・られる」を使いすぎない

「れる・られる」には「受身」「可能」などの意味があります。多用すると、文がわかりにくくなってしまいます。

キウイが体に良いと言われる理由として、栄養価が高いことが挙げられる。手頃な価格で手に入れられ、年中食べられる。

「れる・られる」が「受身」なのか「可能」なのかを考えながら読まなくてはならないため、とても読みにくい文です。

キウイが体に良い理由には、栄養価の高さがある。手頃な価格で手に入り、年中食べることができる。

「れる・られる」は使いやすい言葉ですが、使わなくても文を書くことはできます。頼りすぎないように気をつけましょう。

「の」「が」の連続を避ける

「の」「が」の連続は、文章を書いていると誰もが経験する課題です。

駅の前のスーパーで、明日の遠足の弁当のおかずの材料を買った。

駅前のスーパーで、遠足の弁当に使う材料を買った。

「の」が続くと、文がわかりにくくなります。

2つまではギリギリセーフ、3つ続いたらアウトと考えておきましょう。

ほかの言葉に言い換えたり、不要な情報を削除したりすることで、「の」の連続を回避しましょう。

また、「が」の連続もよくある事例です。

親が子どもが道路に飛び出さないように注意することが大切だ。

子どもが道路に飛び出さないように、親が注意することは大切だ。

「が」が連続すると、主語があいまいになり、文がわかりにくくなります。言い換えたり、主語と述語の位置を近づけることで、「が」を減らすことができます。

「もの」「こと」に頼りすぎない

「~もの」や「~こと」は使いやすい言葉です。頼りすぎると、文の意味をあいまいにし、わかりにくくする場合があります。

サブスクは、定額で製品を利用できるものです。

間違っていませんが、「もの」がどんなものかがあいまいです。

  • サブスクは、定額で製品を利用できる仕組みです。
  • サブスクは、定額で製品を利用できるサービスです。

このように、異なった解釈をしてしまう場合もあります。「もの」は意味をあいまいにするので、適切な言葉に言い換えるようにしましょう。

「こと」はどうでしょうか。

SNSは、インターネット上で人と交流することができるサービスのことだ。

SNSは、インターネット上で人と交流できるサービスだ。

上記の通り、「~こと」は不要なケースがほとんどです。

漢字は2~3割

漢字が多い文は、読み手に「難しそう」という印象をあたえます。一方、ひらがなが多すぎても、読みにくくなってしまいます。

【漢字使用率:50%】
予め訓練すれば、殆どの危険を回避出来る。

【漢字使用率:0%】
あらかじめくんれんすれば、ほとんどのきけんをかいひできる。

【漢字使用率:24%】
あらかじめ訓練すれば、ほとんどの危険を回避できる。

漢字の比率は2~3割程度にすると、読みやすくなります。4割を超えると読みにくくなってくるので、言葉を置き換えるなどの工夫をしましょう。

下表は、ひらがなで書いた方がよい言葉の一例です。

もとの意味が薄れた言葉文をつなぐ言葉ほかの言葉の前後につく言葉
事 → 学ぶこと故に → ゆえに等 → など
物 → 学ぶもの何故 → なぜ程 → ほど
時 → 学ぶとき是非 → ぜひ迄 → まで
所 → 学ぶところ及び → および殆ど → ほとんど
見る → 学んでみる予め → あらかじめ概ね → おおむね
置く → 学んでおく因みに → ちなみに但し → ただし

正しい日本語を使う|7つのルール

ここまでは、「文として間違ってはいないが、もっとわかりやすくするルール」について解説しました。

ここからは、使い方を間違えると、意味が変わったり、伝わらなくなったりする「日本語のルール」について解説します。

正しい日本語を使うための7つのルールは、以下の通りです。

  • 主部と述部がねじれていないか
  • 因果関係を正しく
  • 話し言葉を使わない
  • ら抜き言葉を使わない
  • 適切な述語で受ける
  • 重ね言葉を使わない
  • 「てにをは」を正しく使う

主部と述部がねじれないように

主部と述部がねじれて、正しい文になっていない事例はよく見られます。特に多いのは、次の2つです。

  • 主語と述語の関係が正しくない
  • 受動と能動の関係が正しくない

主語と述語の関係が正しくない

次の文を見てください。

A社の新商品は、20代女性をターゲットにして開発した。

「開発した」のは「A社」なので、この文は「主語と述語の関係が正しくない」といえます。

A社は、20代女性をターゲットにした新商品を開発した。

「開発した」に合わせる場合、主語は「A社は」とすべきです。

A社の新商品は、20代女性をターゲットにして開発された。

「A社の新商品は」に合わせる場合、述語を受動態にする必要があります。

受動と能動の関係が正しくない

次の文を見てください。

政府の新しい政策は、子ども1人に3万円が支給される。

支給するのは「政府」、支給されるのは「3万円」です。この文は「受動と能動の関係が正しくない」といえます。

  • 政府の新しい政策は、子ども1人に3万円を支給するものだ。
  • 政府の新しい政策によって、子ども1人に3万円が支給される。

前章で「『れる・られる』を使いすぎない」方がよいことを解説しましたが、「れる・られる」を使うと、このような主述のねじれも発生しやすくなります

主述がねじれると、文章を正しく理解できなくなってしまいます。主語と述語の関係、受動と能動の関係には十分に気をつけましょう。

因果関係を正しく

因果関係が正しくないとはどういうことでしょうか。次の文を見てください。

従業員のモチベーションを上げるには、生産性を上げ、業務内容を見直す必要がある。

一見、正しく見えますが、この文は因果関係が逆転しています。正しい因果関係は次の通り。

  • 原因:従業員のモチベーション向上、業務内容の見直し
  • 結果:生産性が上がる

生産性を上げるには、従業員のモチベーションを上げ、業務内容を見直す必要がある。

原因と結果が逆になっている事例は、よく見られます。原因と結果を正しく結びつけることが大切です。そのためには、期待される結果が何かを考えるとよいでしょう。

また、「因果関係がない」事例もよく見られます。

キウイは手頃な価格で手に入るので、年中食べることができる。

これも正しい文に見えますが、「手頃な価格で手に入ること」と「年中食べられること」には因果関係はありません。

キウイは手頃な価格で手に入り、年中食べることができる。

因果関係を正しく書くには、次のことに気をつけましょう。

  • 原因と結果が逆になっていないか
  • 因果関係があるかどうか

話し言葉を使わない

テレビなどの影響もあり、「話し言葉」が文章内に紛れ込む事例はよく見られます。

媒体によっては許容される場合もありますが、「話し言葉」とはどのようなものかを理解しておく必要があります。

特に多いのは、「となります」「していきます」です。

デザインの良さと耐久性が、この商品の魅力となります。

デザインの良さと耐久性が、この商品の魅力です。

この記事では、政府の新しい政策について説明していきます。

この記事では、政府の新しい政策について説明します。

「となります」「していきます」は、特によく使われる表現です。文が冗長になり、読みにくくなる原因にもなるため、使わないようにした方がよいです。

ら抜き言葉を使わない

「ら抜き言葉」は、話し言葉として使われる傾向があり、書き言葉にも混ざりやすくなっています。

このレストランでは、本格イタリアンが食べれる。

このレストランでは、本格イタリアンが食べられる。

「ら抜き言葉」は誤用です。正確に見極められるようにしておく必要があります。

では、どのようにして見極めればよいのでしょうか。

「ら抜き言葉」の見つけ方は、それほど難しくありません。

ら抜き言葉の見つけ方
  1. 「れる」の前に「ら」を入れてみる
  2. 意味が「可能」なら、ら抜き言葉

次の文を見てください。

商品が500円で売れる。

「れる」の前に「ら」を入れてみます。

商品が500円で売られる。

意味が「受身」になるので、ら抜き言葉ではありません。

この場合はどうでしょうか。

水族館で、珍しい生き物が見れる。

「れる」の前に「ら」を入れてみます。

水族館で、珍しい生き物が見られる。

この場合、意味が「可能」になるので、ら抜き言葉です。「ら」を入れることで「可能」の意味になる場合は、すべて「ら抜き言葉」です。

適切な述語で受ける

受け手の述語が見つからず、言葉が迷子になってしまうことがあります。次の文を見てください。

東京は、観光スポットと飲食店や交通の便など、外国人観光客に人気がある。

この文では、「観光スポット」「飲食店」「交通の便」が「どう」なのかがわかりません。どこにもつながっておらず、言葉が迷子になっている状態です。

適切な述語を補うことで、文の意味を明確にする必要があります。

東京は、観光スポットや飲食店が多く、交通の便もよいので、外国人観光客に人気がある。

ここでは、「観光スポットや飲食店」は「多い」、「交通の便」は「よい」という言葉で受けました。

書き手は場面をイメージしながら書いているため、足りない言葉を無意識のうちに、脳内で補ってしまうことがあります。

常に「何がなんだ」「何がどうした」という文になっているかを意識することが重要です。

重ね言葉を使わない

重ね言葉とは、同じ意味の言葉を重ねて使った表現のことです。「重言」や「二重表現」とも言います。

プロのライターや編集者でも見逃してしまうことがあるほど、よく誤用されます。

いちばん最初に、配布資料の枚数を確認する。

「最初」は「いちばん初め」という意味です。したがって、NG例だと「いちばんいちばん初めに」という文になってしまいます。

最初に、配布資料の枚数を確認する。

漢字の重複も、よく見られます。

いま練習をしないと、後で後悔する。

「後で悔やむ」ことを「後悔」というので、NG例だと「後で後で悔やむ」という文になってしまいます。

いま練習をしないと、後悔する。

重ね言葉は数え切れないほどありますが、よく間違われるものを覚えておくとよいでしょう。

筆者が編集する中で、よく出会う二重言葉と改善例を10個掲載します。

二重言葉改善例
まず最初にまずは/最初に
およそ〇〇ほどおよそ◯◯/◯◯ほど
各◯個ずつ各◯個/◯個ずつ
必ず必要必要
返事を返す返事
あらかじめ準備する準備する
◯◯感を感じる◯◯感がある
過半数を超える過半数になる/半数を超える
収入が入る収入がある/お金が入る
初心者の人初心者/初めての人

「てにをは」を正しく使う

「てにをは」とは、「は」「が」「を」「に」「へ」など、助詞の総称です。

1文字変わるだけで、文の意味が変わってしまうこともあるので、「てにをは」は正しく使う必要があります。

次の文を見てください。

  • ケーキがいいです。 → 「ケーキが欲しい」という意味
  • ケーキでいいです。 → ほかのものが欲しいかもしれない
  • ケーキはいいです。 → 「ケーキはいらない」という意味

助詞が違うだけで、意味が変わってしまいます。意図が正確に伝わるように、正しい助詞を使うようにしましょう。

特に誤用が多い助詞について解説します。

  • 「は」と「が」の違い
  • 「に」と「と」の違い
  • 「に」「へ」「まで」の違い
  • 「たり」の使い方

「は」と「が」の違い

主に主語に使われる「は」と「が」には、明確な違いがあります。

  • 未知のもの  → 「が」を使う
  • 既知のもの  → 「は」を使う
  • 従属節の主語 → 「が」を使う

次の文を見てください。

①あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

②おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

③おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。

①では、おじいさんとおばあさんは「初登場」なので「未知のもの」です。したがって「が」が使われています。

②では、すでに登場済みなので「既知のもの」です。したがって「は」が使われています。

従属節とは「◯◯ので」「◯◯すると」などのように、それだけでは成立しない文のことです。

③の「おばあさんが川を洗濯をしていると」は従属節なので、「が」が使われています。

最後に、「桃」は「未知のもの」なので「が」が使われています。

「に」と「と」の違い

「◯◯になった」「◯◯となった」など、物事が変化した場合に「に」や「と」を使います。

  • 自然にそうなった場合 → 「に」を使う
  • 色々あって意外性のある結果になった場合 → 「と」を使う

次の文を見てください。

①赤と青を混ぜたら、紫になった。

②天気予報は晴れだったが、午後から突然、雪となった。

①では、赤と青を混ぜると「自然に」紫になるので、「に」が使われています。

②では、「午後から雪が降った」のは意外な展開です。「に」でも間違いではありませんが、「と」の方が意外性が出ます。

「に」「へ」「まで」の違い

「◯◯に」「◯◯へ」「◯◯まで」は、場所や方向などを表す助詞です。対象との位置関係によって、使う助詞が異なります。

  • 場所を示す → 「に」を使う
  • 方向を示す → 「へ」を使う
  • 過程を示す → 「まで」を使う

次の文を見てください。

①駅に集合する。

②駅の方へ向かう。

③駅まで歩く。 

①では、場所を示しているので、「に」が使われています。

②では、方向を示しているので、「へ」が使われています。

③では、過程を示しているので「まで」が使われています。

場所や方向を示す助詞には、ほかに「から」「を」「で」などがあります。合わせて覚えておくとよいでしょう。

  • 場所 → 学校に着く。
  • 方角 → 学校方面へ向かう。
  • 過程 → 学校まで歩く。
  • 起点 → 学校から家に帰る。
  • 通過 → 学校の前を通って公園へ向かう。
  • 動作 → 学校で遊ぶ。

「たり」の使い方

「◯◯たり、◯◯たり」という助詞は、必ず重ねて使う言葉です。

次の文を見てください。

朝は洗濯をしたり、洗い物をする。

朝は洗濯をしたり、洗い物をしたりする。

「たり」の単独使用は、新聞社の用語辞典でも「誤用の多い事例」として紹介されているほど、誤用の多い事例です。

「てにをは」の使い分けは簡単ではありませんが、多くの文に触れて感覚を養うことが重要です。

まとめ:一文一義が基本原則

わかりやすい文章の書き方基本ガイドとして、3つの視点と22のルールについて解説しました。「わかりやすい文章」かどうかは、「文(一文)」をいかにわかりやすく書くことができるかどうかにかかっています。

さまざまなルールを紹介しましたが、文章の原則は「一文一義」です。「何かおかしい」「わかりにくい」と感じたときは、「一文一義」に立ち返ってください。ほとんどの課題は解決します。

本記事が、文章を書くすべての人にとって、「わかりやすい文章」を書く一助になれば幸いです。

一文を制するものが文章を制す

一文一義とは
一文一義とは?一読で理解できる文の書き方|3つのポイントで劇的に変わる「一文一義」とは、「1つ文に1つの情報だけを書くこと」です。「一読しただけで理解することができる文章」を書く上で欠かせない、文章表現の1つです。「一文一義」はプロのライターも意識している、文章を書く上での基本です。メールや社内文書など、日常の文章作成にも活用できます。...

参考文献

  • 赤羽博之『書くスキルUP!すぐできる!伝わる文書の書き方ー確実に文章力がつく!7つのステップ』日本能率協会マネジメントセンター
  • 阿部紘久『簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本』株式会社日本実業出版社
  • 小笠原信之『伝わる!文章力が身につく本』株式会社高橋書店
  • 唐木元『新しい文章力の教室ー苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング(できるビジネス)』株式会社インプレス
  • 小林薫『迷わず書ける記者式文章術ープロが実践する4つのパターンー』慶應義塾大学出版会株式会社
  • 澤野弘監修『きちんと!伝わる!文章の書き方 身につく便利帖』株式会社学研パブリッシング
  • 芝本秀徳『誰も教えてくれない 書くスキル』日経BP社
  • 永山嘉昭、雨宮拓、黒田聡、矢野りん『説得できる文章・表現200の鉄則』日経BP出版センター
  • 橋口幸生『言葉ダイエットーメール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術ー』株式会社宣伝会議
  • 尾藤克之『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』株式会社三笠書房
  • 藤吉豊『文章力が、最強の武器である』SBクリエイティブ株式会社
  • 藤吉豊、小川真理子『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』日経BP社
  • 山口拓朗『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則』明日香出版社