読点とは「、」のことです。
読点は日本語の文章を書く上で欠かせませんが、「なんとなく」「適当に」使っていないでしょうか。
読点のルールを知らず、適当に使っていると、誤解を招いたり、相手にストレスを与えたりする可能性があります。
一方、読点の使い方が上手い文章は、テンポよく読めて、文意をすんなりと理解することができます。
文章を書くうえで、読点を上手く使いこなせるかどうかはとても重要な要素といえます。
この記事では「読点の役割」を明確にし、ルールや使い方、読点を打つ場所の目印について解説します。
読点の役割
読点には、2つの役割があります。
- 文を読みやすくする
- 文意をわかりやすくする
読点を上手に使うためには、2つの役割をしっかりと理解しておく必要があります。
文を読みやすくする
次の文を比べてみましょう。
私が行った運動の中でウォーキングが一番効果があった。
私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。
後者のほうが読みやすいのではないでしょうか。
人の脳は、文を読むときに「まとまり」で読みます。
読点を置くことで、脳が2つのまとまりを認識しやすくなり、「読みやすい」と感じます。
また、人は文を読むとき、頭の中で音読をしています。読点があることでリズムが生まれ、読みやすくなります。
このように、読点には文を、視覚的・音声的に読みやすくするという役割があります。
文意をわかりやすくする
文意をわかりやすくするとはどういうことでしょうか。次の文を見てください。
母がご飯を食べながらテレビを見ている弟をしかった。
この文では、ご飯を食べているのが母か弟かがわかりません。読み手によって解釈が変わってしまいます。
母が、ご飯を食べながらテレビを見ている弟をしかった。
母がご飯を食べながら、テレビを見ている弟をしかった。
前者は「ご飯を食べている」のは弟、後者は「ご飯を食べている」のは母です。
このように、読点を打つ位置によって文意が変わります。適切な位置に読点を打つことで、誤解なく文意を伝えることが重要です。
読点が正しくない文の例
読点は、少なすぎても、多すぎても、また位置が悪くても、誤解を招く原因になります。
読点が正しく使われていない例を見てみましょう。
読点が少なすぎる例
私が行った運動の中でウォーキングが一番効果があった。
文が短ければ読点がなくてもスムースに読めますが、ある程度の長さになると、読点を打つほうが読みやすくなります。
読点が多すぎる例
私が、行った運動の中で、ウォーキングが、一番、効果があった。
読点が多すぎると、読むテンポが悪くなってしまいます。
逆に、適切な位置に読点が打たれていると、読んだときのスピード感やリズムが崩れません。
むしろテンポよく読むことができるようになります。
読点の位置が悪い例
私が、行った運動の中でウォーキングが一番、効果があった。
先述のとおり、読点には「文意をわかりやすくする」役割があります。読点の位置が悪いと、文意が伝わりにくくなってしまいます。
一読して文意が理解できる位置に、読点を打つ必要があります。
私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。
読点の誤解|本当に適切な位置とは?
読点を打つ位置について、次のようなルールを目にすることがあります。
- 息継ぎをする場所に打つ
- 主語のあとに打つ
- 「」の前に打ってはいけない
ある意味では間違ってはいませんが、いずれも「誤解」であると考えます。
息継ぎをする場所に打つ
息継ぎをする場所は、人によって異なります。極端な例ですが、このルールに従うと、次のような位置でも良いことになります。
私が行った運動の中でウォーキングが一番効果が、あった。
どう見ても、適切とは言えません。
主語のあとに打つ
「主語のあとに打つ」はどうでしょうか?
私が、行った運動の中でウォーキングが一番効果があった。
私が行った運動の中でウォーキングが、一番効果があった。
どちらも、間違っているとは言えませんが、文意がわりやすいとも言えません。
「」の前に打ってはいけない
読点を「」の前に打つべきかどうかについては、賛否両論があります。
私が行った運動の中で「ウォーキング」が一番効果があった。
たとえば上記のような場合、読点がなくても読みにくくはありません。
では、このような場合はどうでしょうか。
「ウォーキング」「水泳」「体操」の中で「ウォーキング」が一番効果があった。
「ウォーキング」「水泳」「体操」の中で、「ウォーキング」が一番効果があった。
後者のほうが、文意がわかりやすくなるのではないでしょうか。
どちらが正しいとは言えませんが、「打ってはいけない」と断言することもできないでしょう。
読点の適切な位置とは?
読点の役割は「文を読みやすくすること」と「文意をわかりやすくすること」です。
では役割を満たす、読点の適切な位置とはどこでしょうか。
「意味の切れ目」です。
私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。
この文は「条件」と「結論」に分けることができます。
- 条件:私が行った運動のなかで
- 結論:ウォーキングが一番効果があった
このように「意味の切れ目」に読点を打つことによって、文が読みやすくなり、文意がわかりやすくなります。
では、「意味の切れ目」とは具体的にどこなのでしょうか。
読点のルール|6つの目印
読点を打つ位置に明確なルールはありませんが、「意味の切れ目」を意識すると、文章が読みやすくなります。
ここでは、読点を打つ際の「6つの目印」について解説します。
- 長い主語・主題
- 逆説の助詞
- 原因・理由・条件
- 状況・場面の説明
- 時間や場所の変化
- ひらがなの連続
長い主語・主題
長い主語や主題がある場合、直後に読点を打つとわかりやすくなります。
A社が先月発売した新しい化粧品は、20代の女性に人気がある。
「は」や「が」といった助詞が目印になるので、比較的見つけやすい目印です。
逆説の助詞
逆説の助詞とは「~が」のように、「しかし」の役割を果たす助詞のことです。
前後で逆の意味になるため、「意味の切れ目」といえます。
毎日ウォーキングをしているが、効果がない。
助詞以外にも「一方」「反面」など逆説を表す言葉も、読点を打つ目印になります。
原因・理由・条件
「原因と結果」「理由と結果」「条件と結論」が書かれている文は、読点で分けることで、因果関係がわかりやすくなります。
【原因と結果の例】
毎日ウォーキングをしているので、体重が5キログラム減った。
【条件と結論の例】
私が行った運動の中で、ウォーキングが一番効果があった。
このような文は、とてもよく見られます。見分けられるようになると、読点の位置にあまり迷わなくなるでしょう。
状況・場面の説明
「~と」「~場合」などは、状況や場面を説明する言葉として代表的です。
地球温暖化が進むと、動植物が少なくなる可能性がある。
投資をする場合、お金が減ることもある。
時間や場所の変化
私は2年前に筋トレを始め、今でも継続している。
この場合「2年前」から「今」へと時間が経過しています。
時間が変わるところで読点を打つことで、文意がわかりやすくなります。
東京駅から電車に乗り、上野駅に到着した。
この場合「東京」と「上野」で場所が変わっています。
場所が変わるところで読点を打つことで、文意がわかりやすくなります。
ひらがなの連続
「意味の切れ目」ではありませんが、ひらがなが連続して読みにくくなっている場合は、読点で区切ることで読みやすくなります。
指示をされたらできることからすぐにやることが大切です。
「意味の切れ目」を意識するのであれば、次ようになります。
指示をされたら、できることからすぐにやることが大切です。
しかし、後半の文もひらがなが連続しており、少し読みにくいですね。
指示をされたら、できることから、すぐにやることが大切です。
さらに読点で区切ることで、より読みやすくなります。
次の文はどうでしょうか。
美容効果が期待できるさまざまなエキスが配合されている。
この場合、次のように「長い主語」の後で区切ることもできますが、ひらがなの連続を回避するほうが読みやすい文と言えるでしょう。
美容効果が期待できるさまざまなエキスが、配合されている。
美容効果が期待できる、さまざまなエキスが配合されている。
どちらが正解というわけではありませんが、「文の読みやすさ」「文意のわかりやすさ」の2つの基準に立ち返って考えることが重要です。
まとめ:読点は適当に打ってはいけない
読点の打ち方に、明確なルールはありません。最終的には、書き手の好みによっても変わってきます。
だからといって適当に読点を打つと、読みにくくなったり、誤解を招いたりすることもあります。
最後に、改めて読点の役割を確認しておきましょう。
- 文を読みやすくする
- 文意をわかりやすくする
読点の役割を意識したうえで使い分けることが重要です。
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