「文章の書き方を学びたい」「文章力を向上させたい」と思ったとき、本で学ぶのはとても有効な手段です。しかし、世の中にはたくさんの著書が出回っています。
- どの本を選べばよいか、わからない
- 自分のレベルに合っているか、わからない
- 自分にとって必要な内容かどうか、判断できない
このような悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。その人の仕事や、現在の文章力によっても、選ぶ本は変わってくるでしょう。
この記事では、教育業界や金融メディアで「わかりやすく伝える」「正しく伝える」ことについてのノウハウを蓄積してきた筆者が、以下のような人に適していると考えられる本を紹介します。
- 報告書やメール文書で日常的に文章を書く社会人
- 初心者ライター、これからライターの仕事をはじめたい人
「【迷ったらコレ】文章の基本を学べる本|おすすめ3選」と「【社会人向け】即日実践できる本|おすすめ3選」では、「文章の書き方」スキルを重視した本を紹介しています。
「【初心者ライター向け】文章力が向上する本|おすすめ3選」では、マインドやネタの探し方など、「書き方以外」にも言及した本を紹介しています。
「【全ライター・編集者】文章を仕事にするなら|必読書2冊」では、ライティングの教科書とも言える、必読の本2冊を紹介しています。
【迷ったらこれ】文章の基本を学べる本|おすすめ3選
文章の書き方に関する本は多数出版されています。社会人にしても初心者ライターにしても、「どれを選べばよいかわからない」という場合は、ひとまずこの3冊から選んでみてください。
シリーズも出版されている書籍なので、「次の1冊」を選ぶのも楽になります。
文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック [ 阿部紘久 ] 価格:1430円 |
「とりあえずコレ」「一番上に書いてあったからコレ」と選んでも間違いありません。
伝わる!文章力が身につく本 できる人は文章も上手い! [ 小笠原信之(ジャーナリスト) ] 価格:1320円 |
文章力について一から学びたい人にとって、おすすめの一冊です。
すぐできる!伝わる文章の書き方 確実に文章力がつく!7つのステップ (書くスキルUP!) [ 赤羽博之 ] 価格:1430円 |
推敲して「直す」工程をとても重視しています。
簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本
阿部紘久(株式会社日本実業出版社)
文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック [ 阿部紘久 ] 価格:1430円 |
2009年の発行から、50版以上を重ねる、35万部のベストセラーです。よくわからない人は、「とりあえずコレ」「一番上に書いてあったからコレ」と選んでも間違いありません。
「77個もあるの?」と思うかもしれませんが、1つのテーマは基本2ページ見開きで書かれています。パラパラとながめて、目に止まったページに書いてあることを「コレやってみよう」と、軽い気持ちで実践できます。
解説も、簡単な言葉を使って書かれており、専門用語などはわかりやすい言葉に置換えられているので、とても理解しやすいです。
また、コンパクトなサイズ感も魅力です。場所を取らないので、どこにでも持ち運んで、さっと取り出すことができます。
- 何を買ったらよいかわからない
- 堅苦しくなく、ライトに読める本がよい
- 持ち運べる、コンパクトな本が欲しい
本書はシリーズが出版されており、合わせて読むのもおすすめです。
書くことが、これでとても楽になる81のポイント 文章力を伸ばす
文章力を伸ばす 書くことが、これでとても楽になる81のポイント [ 阿部紘久 ] 価格:1430円 |
伝わる!文章力が身につく本ーできる人は文章も上手い!ー
小笠原信之(高橋書店)
伝わる!文章力が身につく本 できる人は文章も上手い! [ 小笠原信之(ジャーナリスト) ] 価格:1320円 |
本書は、著者の小笠原信之さんが、24年間にわたって文章指導をしてきたノウハウが詰まった書籍です。
「文章の書き方」にはさまざまなスキルがありますが、本書は、学習者の文章力の段階によって、身につけるべきスキルを分類しています。
- 文の土台を固める段階
- 内容を豊かにする段階
- 語法を意識する段階
前半は、文章を書くにあたって確実に身につけたいスキルが記載されています。後半に進むにつれて、より文章を豊かにする表現方法について言及しています。
本書では、前のページから順番に学習していくことで、学習効果が高まっていく構造になっています。文章力について一から学びたい人にとって、おすすめの一冊です。
- 文章の書き方を体系的に学びたい
- 1ページ目から順番に学習したい
- 文章力について一から学びたい
本書はシリーズが出版されており、合わせて読むのもおすすめです。
伝わる!文章力が豊かになる本
伝わる!文章力が豊かになる本 語彙力・表現力が身につく! [ 小笠原信之 ] 価格:1320円 |
こちらの本は、「文章はそこそこ書けているけれど、もっと表現力を高めたい、語彙力を広げたい」という人におすすめの一冊です。
書くスキルUP!すぐできる!伝わる文書の書き方ー確実に文章力がつく!7つのステップ
赤羽博之(日本能率協会マネジメントセンター)
すぐできる!伝わる文章の書き方 確実に文章力がつく!7つのステップ (書くスキルUP!) [ 赤羽博之 ] 価格:1430円 |
文章を書き始めるところから、読み返すところまで、7つのステップに分けて解説しています。
次のような、仕事や日常のコミュニケーションで使われる文章の「よくある課題」を、6つのカテゴリーに分類し、それぞれの解決策を紹介しています。
- 一文が長い
- 無駄な重複がある
- 言葉の選び方が適当
- 具体的に書かれていない
- リズムや流れが悪い
- 語順がおかしい
ステップ7では、読み返して推敲する際の注意点がまとめられています。筆者は「伝わる文章は推敲から生まれる」と述べており、推敲して「直す」工程をとても重視しています。
推敲するときの手順や、視点がまとめられている点は、この本の特徴と言えるでしょう。
また、NG例や練習問題も豊富に掲載しており、より実践的に学ぶことができます。
- 基本的なスキルを身につけたい
- 練習問題に取り組みたい
- 読み返すときの視点や手順を知りたい
【社会人向け】即日実践できる本|おすすめ3選
多くの社会人は、報告書やメール文書など、仕事の中で日常的に文を書いています。ちょっとした文章のテクニックを知っていると、文章が読みやすく・わかりやすくなります。
ここでは、すぐに実践できる「文章の書き方」を学ぶことができる本を紹介します。1冊持っておくだけで、文章の質が格段に良くなります。
「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 [ 藤吉 豊 ] 価格:1650円 |
1冊読むだけで、多くのプロが「これは大事!」と言っていることが分かる。
伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則 [ 山口 拓朗 ] 価格:1540円 |
SNSやメールなどにも言及した、「現代人」が身につけておきたい文章読本。
「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
藤吉豊、小川真理子(日経BP社)
「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 [ 藤吉 豊 ] 価格:1650円 |
名著と呼ばれる「文章術に関する本」を100冊厳選し、その中で述べられているポイントをランキング形式でまとめています。
1冊読むだけで、多くのプロが「これは大事!」と言っていることが分かってしまいます。
ランキングは全40項目で、以下の3パートにわかれています。
- すべての人に身につけてほしい7つの基本ルール
- ワンランク上の文章を書くための13のポイント
- 気をつけるとさらに文章がよくなる20の秘訣
ランキングには、文章を書くための「マインド」も含まれているので、プロの「書き方」だけでなく、「考え方」も学ぶことができます。
また、誰でも1時間でブログ記事が書ける「型」が解説されており、文章を書く練習に利用できます。
- 何冊も本を読みたくない
- 本当に必要なエッセンスだけ学びたい
- 「書き方」と「考え方」を学びたい
言葉ダイエットーメール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術ー
橋口幸生(株式会社宣伝会議)
価格:1650円 |
文章がわかりにくい理由を「書きすぎ」と定義し、徹底的に言葉の無駄を削ぎ落とすことに注力しています。署名が示す通り、「言葉の贅肉を削ぎ落とす」ことが本書の目的です。
「言葉ダイエット」として紹介されているスキルはたったの8つ。しかし、効果は絶大です。しっかりと実践すれば、確実に読みやすい文章を書けるようになります。
「文が長い」人は、情報を正確に伝えなければならないと考えて、詰め込みすぎてしまうことが多いです。そういう人にとっては、特に効果が実感できる本です。
- よく文章が長いと言われる
- 真面目で几帳面
- 短時間で大きな効果を実感したい
伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
山口拓朗(明日香出版社)
伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則 [ 山口 拓朗 ] 価格:1540円 |
わかりやすい、読みやすい文章を書くための「書き方」だけでなく、文章を書く準備段階や設計図の作り方まで言及した一冊です。
目的別の「テンプレート(文章の型)」や、「ターゲット(読者)」の設定方法についても述べられています。
「そもそもどうやって文章を書けばよいか分からない」という人は、本書のテンプレートをまねすれば、ひとまず書き始めることができるでしょう。
また、テンプレートやターゲットについて学ぶことで、タイトルの通り「速く」書けるようになります。
さらに、メールやSNSなどでの文章の作り方も解説しており、まさに「現代人」が身につけておきたい文章読本となっています。
- どうやって文章を書けばよいかわからない
- メール文書やSNSでの発信のコツを知りたい
- 文章を書くのが遅い
【初心者ライター向け】文章力が向上する本|おすすめ3選
駆け出しのライターや、これからライターをやってみようと考えている人は、文の書き方だけでなく、「文章を書く際のマインド」や「読んでもらう工夫」ついても学びたいところです。
初心者ライターの場合、1冊ではなく、さまざまな本を読んで学習するのがおすすめですが、何を読んだらよいか分からない人は、ここで紹介する本を手に取ってみてください。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス) [ 唐木元 ] 価格:1430円 |
未経験・初心者のライターを育てるためのトレーニングがベースとなっているので、初心者ライターが学習するのにうってつけの本です。
迷わず書ける記者式文章術 プロが実践する4つのパターン [ 松林 薫 ] 価格:1540円 |
「誰でも読める」ことを大前提としている、新聞の文章術を学ぶことで、ビジネス文書やニュース記事、ブログ記事など、どのような文にも応用ができます。
新しい文章力の教室ー苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング(できるビジネス)
唐木元(株式会社インプレス)
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス) [ 唐木元 ] 価格:1430円 |
月間3,000本の記事を配信しているニュースサイト「ナタリー」で、実際に行われているライター向けトレーニングをベースにした書籍です。
未経験・初心者のライターを育てるためのトレーニングがベースとなっているので、初心者ライターが学習するのにうってつけの本です。
本書の特徴は、「Chapter1.書く前に準備する」と「Chapter5.読んでもらう工夫」と言えるでしょう。
「書く前の準備で文章が決まる」と述べている通り、主題の決め方や構成の作り方を丁寧に解説しています。
また、読んでもらうためのちょっとした工夫も多数掲載されており、ただ「書くスキルを身につける」だけの本では終わらない内容になっています。
- 記事を魅力的に書く方法を知りたい
- 記事を書くために準備すべきことを知りたい
- 読んでもらえる文章を書きたい
迷わず書ける記者式文章術ープロが実践する4つのパターンー
小林薫(慶應義塾大学出版会株式会社)
迷わず書ける記者式文章術 プロが実践する4つのパターン [ 松林 薫 ] 価格:1540円 |
元新聞記者の著者が、「新聞で使われている文章術」をまとめた著書です。
「誰でも読める」ことを大前提としている、新聞の文章術を学ぶことで、ビジネス文書やニュース記事、ブログ記事など、どのような文にも応用ができます。
本書の特徴は、「取材の方法」にまで言及していることです。事実関係の確認にはどのような資料を使うべきかや、インタビューをするときのポイントがまとめられています。
ライターとして仕事をする上で、参考にする資料選定はとても重要です。信頼されるライターを目指すのであれば、ここで書かれていることをしっかりと抑えておく必要があるでしょう。
- 新聞で使われている文章術を学びたい
- 取材の方法や資料の集め方を知りたい
- 文章術は最低限抑えるべきことを知りたい
文章力が、最強の武器である
藤吉豊(SBクリエイティブ株式会社)
価格:1650円 |
本書では、「読む人のことを考えて書く」ということがメインテーマになっており、「読む人のことを考えて書く」ためのマインドや技術が詰め込まれています。
前半では、「文章力が必要な理由」や「文章力を磨くことで身につく力」、「文章を書く際に、プロが意識している視点」について詳しく解説することで、ライターとしての心構えを提示しています。
後半では、読み手にとって「おもしろい」「わかりやすい」「よみやすい」とはどういう文章かという視点で、さまざまなノウハウが書かれています。
- 文章の内容をおもしろくする「8つの考え方」
- 文章をわかりやすくする「5つの型」
- 文章を読みやすくする「8つのコツ」
「読者」のことを考えられることは、よいライターの条件の1つです。ライターを始めるにあたって、一度は読んでおきたい書籍といえます。
- 文章が読み手に与える影響について学びたい
- ライターを始める上での心構えを知りたい
- 文章を学ぶ意味を知りたい
【全ライター・編集者】文章を仕事にするなら|必読書2冊
最後に紹介するのは、初心者かどうか、副業かどうかに関わらず、「文章」を仕事にする人は必ず読んでおいた方がよい2冊です。
特にライター初心者であれば、この2冊をセットで読むことを強くおすすめします。そのうえで、上述した書籍も合わせて読んでみてください。
日本人のための「書く」全技術【極み】 [ 藤𠮷 豊 ] 価格:1980円 |
書くためのスキルを過不足なく紹介しており、「最初の一冊」に最適。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』
古賀史健(ダイヤモンド社)
価格:3300円 |
『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』などのベストセラーを生み出した、ライター界のトップランナー古賀史健さんが、「もしぼくが『ライターの学校』をつくるとしたら、こんな教科書がほしい」というコンセプトでまとめた一冊です。
「書く人の教科書」というタイトルが示す通り、文章を書く人にとっての道標となる「文章の基本」が丁寧に解説されています。
本書では、上記で紹介したようないわゆる「テクニック」については一切解説されていません。
ライターや編集者の「役割」や、文章で何を伝えるかといった、「文章の基本」を「取材・執筆・推敲」の3段階にわけて解説しています。
本書を読むと、文章の見え方や文章への関わり方が大きく変わります。
- これからライターとして活動したい人
- すでにライターや編集者として活動している人
- 文章の書き方について、根本的に学びたい人
詳しくは、こちらのレビューも参考にしてください。
https://kakuskill.com/article-03002/『日本人のための「書く」全技術【極み】』
藤吉豊、小川真理子(翔泳社)
日本人のための「書く」全技術【極み】 [ 藤𠮷 豊 ] 価格:1980円 |
前述の「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」が「文章の基本」だとすれば、本書はより実践的な「スキル」を解説した書籍です。
数々の執筆指導経験に基づいた、「執筆メソッド」が一冊にまとめられています。
文章を書くための準備から完成にいたるまでを、5つのプロセスにわけ、網羅的に解説しています。
「文章力」を、「誰もが身につけるべきポータブルスキル」として解説しているので、ライターだけでなく、すべての人におすすめできる一冊です。
文章スキルの書籍としては、網羅性が高いので、これからライターを始めたい人が最初に手にする一冊としてもおすすめです。
- これからライターとして活動したい人
- 初心者ライターで、文章スキルを学びたい人
- 文章を書くための全工程のスキルを身につけたい人
詳しくは、こちらのレビューも参考にしてください。
https://kakuskill.com/article-03001/まとめ:目的にあった選書を!
文章の書き方を学べる書籍を紹介しました。何を学ぶかは、学び手のスキルや目的によって異なります。
初心者ライターの場合でも、「もっと根本的な文章力を身につけたい」と思ったら、前半で紹介した書籍を手にとってみるのもよいでしょう。
逆に、ライターでない場合でも、後半で紹介した本は、テキストコミュニケーションを図る上で、学んでおくとよいものばかりです。
本記事が、文章を書くすべての人にとって、文章力を上げる一助になれば幸いです。