今回紹介する本は、『日本人のための「書く」全技術【極み】』(翔泳社)です。
著者は、株式会社文道の藤吉豊氏、小川真理子氏です。
両名は、ライターや編集者として活動しており、大学生や社会人を対象とした執筆指導も行っています。
本書は、数々の執筆指導に基づいた、「執筆メソッド」が一冊にまとめられています。
本書の概要
日本人のための「書く」全技術【極み】 [ 藤𠮷 豊 ] 価格:1980円 |
出版:翔泳社
初版:2023年10月23日
価格:1,800円+税
頁数:344ページ
本書は、「文章を書く」という一連の工程を、次の5つのプロセスに分けて解説しています。
- 企画立案
- 情報収集
- 情報整理
- 執筆
- 推敲
そのうえで、「文章力を伸ばすコツ」と「文章を書く上での心得」を含めた「序章+8章」で構成されています。
- 序章:「上手な文章」とは何か
- 第1章:企画する
- 第2章:集める
- 第3章:構成する
- 第4章:書く
- 第5章:惹きつける
- 第6章:推敲する
- 第7章:伸ばす
- 第8章:心得る
第1章から第6章の中で、基本的な執筆スキルが身につく構成になっています。特筆すべきは、2章に分けて書かれている「執筆」工程でしょう。
第4章「書く」では、文章を読みやすく・わかりやすく書くための基本事項について解説しています。
続く第5章「惹きつける」では、読んでもらうための「見せ方の工夫」について解説しています。
文章の解説書は、この2点が同列で語られることがしばしばありますが、本書では「基本事項」と「見せ方の工夫」を分けることで、理解しやすい構成になっているといえます。
また本書では、「ビジネス文書」や「メール文書」、「ブログ」など、目的に応じた文章の型を「すぐに使える6つの型」として紹介しています。
どのように文章を書けばよいかわからない人でも、ひとまず「型」を真似することで、一定の文章が書けるようになっています。
ちなみに、このレビューは、本書で紹介されている「レビュー型」を元にして執筆しました。
誰にでもおすすめできる万能書
私は、文章を書く上で「推敲」の工程が一番重要であると考えています。普段編集者としてメディアの編集に携わっていますが、何度目を通しても、必ずといっていいほど新しい修正点が見つかるものです。
「文章」は、何度も読み返して、何度も推敲を重ねた上で完成するものです。
本書の第6章「推敲する」では、推敲時のチェックポイント11項目が紹介されています。いずれも、編集者が校正をする際にチェックする項目のため、ライターが知っておくと、原稿の質があがるものばかりです。
推敲のやり方まで詳しく解説している本は、あまり多くないので、この章に目を通すだけでも価値のある一冊といえるでしょう。
本書は、文章を書くための準備から、完成にいたるまでを、網羅的に解説している良著です。
「文章力」を、「誰もが身につけるべきポータブルスキル」として解説しているので、ライターだけでなく、すべての人におすすめできる一冊です。
特に、社会人や学生であれば、この一冊を持っておけば、あらゆる場面での文書作成に対応できるといえるでしょう。
日本人のための「書く」全技術【極み】 [ 藤𠮷 豊 ] 価格:1980円 |