文章を書くときに「箇条書き」をうまく使うと、格段にわかりやすくなります。しかし、なんでもかんでも箇条書きにすればよいというわけでもありません。
- 箇条書きにしてもうまく整理ができない
- どのように項目を並べればよいのかわからない
このような悩みを持っている人もいるのではないでしょうか。
適切に箇条書きを使えるようになると、文章が読みやすくなり、読み手にストレスをあたえることがなくなります。
文書やメールでのやり取りが多いビジネスパーソンにとって、箇条書きスキルは、必須スキルといえるでしょう。
この記事では、教育業界や金融メディアで「わかりやすく伝える」「正しく伝える」ことについてのノウハウを蓄積してきた筆者が、「箇条書きの基本ルール」や「箇条書きの種類・形式」について解説します。
箇条書き|5つの基本ルール
箇条書きを使うことで、文章を視覚的にわかりやすくすることができます。しかし、箇条書きにもいくつかのルールがあります。
ルールに沿って書かれた箇条書きは、読みやすく、読者の理解を助けてくれます。
一方、適当に書かれた箇条書きは、かえって混乱や誤解をまねいてしまう可能性もあります。
必ずしも守らなければいけないわけではありませんが、5つの基本ルールを理解しておくとよいでしょう。
- 要素を1つに絞る
- 品詞をそろえる
- 文字数を合わせる
- 7項目以内にする
- 提示順番を考える
要素を1つに絞る
箇条書きの項目を考える際、「要素を1つに絞る」ことはとても重要です。
例えば、次の項目を見てください。
- りんご
- みかん
- 野菜
「りんご」や「みかん」は果物の種類ですが、「野菜」は食べ物の種類です。項目を果物だけにするか、具体的な野菜を加えるなどして、「要素」を絞る必要があります。
要点をわかりやすくするのが、箇条書きの目的です。要素が絞りきれていない箇条書きは、役割を果たせていないといえます。
品詞をそろえる
箇条書きの項目は、品詞をそろえるようにしましょう。
箇条書きは、ものごとを「並列」に並べるときに使用します。並列とは、同じ種類のものごとを並べることです。
したがって、品詞が異なる言葉は、箇条書きで並べることはできません。
【箇条書きのルール】
- 要素を1つに絞る(動詞)
- レベルをそろえること(動名詞)
- 品詞をそろえる(動詞)
- 文字数を合わせる(動詞)
- 7項目以内(名詞)
- 適切な提示順(名詞)
このように、品詞がバラバラの箇条書きが散見されます。読めないことはありませんが、本来の用途からすると、好ましい状態とは言えません。
【箇条書きのルール】
- 要素を1つに絞る(動詞)
- レベルをそろえる(動詞)
- 品詞をそろえる(動詞)
- 文字数を合わせる(動詞)
- 7項目以内にする(動詞)
- 提示順番を考える(動詞)
どうしても品詞がそろわない場合は、「要素が絞れていない」可能性があります。
文字数を合わせる
項目の文字数をある程度そろえると、読みやすくなります。
必ずそろえなければいけないというわけではありません。あくまで、視覚的に「読みやすくなる」程度に考えておきましょう。
ただし、あまりにも文字数の異なる項目が並んでいる場合、箇条書きの項目として並べるにはふさわしくない可能性があります。
この場合も、「要素が絞れていない」可能性があります。
7項目以内にする
箇条書きの項目数は、7項目を超えるとわかりにくくなります。
認知心理学によると、人が瞬時に記憶できる情報の数は7±2個程度です。あまりにも項目数が多い箇条書きは、脳が瞬時に処理できなくなります。
結果的に、かえって「わかりにくい」という印象を与える可能性があります。
項目が多くなる場合は、項目を厳選するか、階層構造にするなどして項目数を減らす工夫をしましょう。
提示順番を考える
項目の提示順番を考えることも重要です。項目にもよりますが、項目を並べる場合は規則性をもたせると、より理解しやすくなります。
- 大切な順
- 時間の順
- 空間の順
- 50音順・アルファベット順 など
例えば、「地名」を規則に沿って並べ替えてみます。
空間の順(東から西) | 50音順 | 人口順 |
---|---|---|
北海道 | 大阪 | 東京 |
東京 | 東京 | 大阪 |
大阪 | 福岡 | 北海道 |
福岡 | 北海道 | 福岡 |
このように、「何について解説しているのか」によって、適切な提示順が異なることを理解しておきましょう。
箇条書きの種類|例文あり
箇条書きには以下の3つの種類があります。
- 並列
- 時系列
- 階層構造
箇条書きを使う際には、どの種類の箇条書きにするのかを適切に選択する必要があります。
並列
並列とは、「同じ種類のものを並べること」です。
例えば、次のような場合に箇条書きを使用すると、項目が目立って、わかりやすくなります。
夏のエアコンの節電方法には、自動運転にする、設定温度を上げる、こまめにフィルター掃除をする、室外機を掃除する、サーキュレーターを併用するなどがある。
夏のエアコンの節電方法は、次の通りです。
- 自動運転にする
- 設定温度を上げる
- 室外機を掃除する
- フィルター掃除をする
- サーキュレーターを併用する
「並列」の箇条書きは、以下のような場合に使用すると効果的です。
- 要点をまとめる
- 要素を並べる
- 注意点を示す
ちなみに、箇条書きをする際に冒頭につける「・」は「ビュレット(bullet)」といいます。「中黒」とは区別して使われます。
時系列
時系列とは、「時間の経過の順に並べること」です。
例えば、手順を説明するときに使用すると、分かりやすくなります。
A社のサービスは、会員登録をし、マイページにログインし、コースを選択し、クレジットカード情報を入力することで利用できます。
A社のサービスの利用手順は次の通り。
- 会員登録する
- マイページにログインする
- コースを選択する
- クレジットカード情報を入力する
「並列」の箇条書きは、以下のような場合に使用すると効果的です。
- 手順を示す
- 経過を示す
時系列の箇条書きを使用する場合は、数字やアルファベットなど、順番がわかる記号をつけると、より分かりやすくなります。
階層構造
箇条書きの項目を、さらに細かく分類する場合に、箇条書きを「階層構造」にします。
次の箇条書きはどうでしょうか?
【夏の節電方法】
- エアコンをつけるときは、サーキュレーターを併用する
- エアコンの設定温度を28度にする
- 冷蔵庫の開閉回数を減らす
- 冷蔵庫に食品を入れすぎない
- 不要な電気を消す
- LED電球にかえる
この箇条書き項目には「エアコンの節電」「冷蔵庫の節電」「照明の節電」が混在しています。
次のように階層構造にして整理すると、わかりやすくなります。
【夏の節電方法】
- エアコン
- サーキュレーターを併用する
- 設定温度を28度にする
- 冷蔵庫
- 開閉回数を減らす
- 食品を入れすぎない
- 照明
- 不要な電気を消す
- LED電球にかえる
階層構造にすることで、文字数が少なくなり、情報も整理されます。
「階層構造」の箇条書きは、以下のような場合に使用します。
- 構成要素を示す
- ものごとを分類する
箇条書きの形式|例文あり
箇条書きには、いくつかの形式があります。わかりやすくするには、適切な形式を選ぶことも重要です。
- 短い項目の箇条書き
- 文の箇条書き
- 説明が付く箇条書き
短い項目の箇条書き
名詞を並べる場合や、短い体言止めなどに使う形式です。箇条書きの形式の中では、最もよく使われる形式です。
有酸素運動には、以下の効果があります。
- 心肺機能の向上
- 高血圧の予防
- 高血糖の予防
- 動脈硬化の予防
- 骨粗しょう症の予防
文の箇条書き
時系列で説明する場合などは、1項目が長くなる場合があります。そのような場合は、文の箇条書きを使用します。
場合によっては、1つの項目が2行以上になることもあります。
ふるさと納税は、以下の手順で行います。
- ふるさと納税のポータルサイトで、寄付先の自治体と返礼品を選ぶ。
- 個人情報やクレジットカード情報を入力し、決済する。
- ワンストップ特例申請か確定申告をして、寄付金控除を受ける。
説明が付く箇条書き
短い項目の箇条書きに、「:」や「……」などで区切って説明が付く場合があります。
日本には歴史上、3つの幕府があった。
- 鎌倉幕府:源頼朝が鎌倉に開いた幕府。1185年~1333年。
- 室町幕府:足利尊氏が京都に開いた幕府。1336年~1573年。
- 江戸幕府:徳川家康が江戸に開いた幕府。1603年~1867年。
説明が長くなる場合は、次のように、項目のあとに説明文が続きます。
- 鎌倉幕府
源頼朝が鎌倉に開いた幕府。1185年~1333年。日本で最初の武家政権を確立し、9代守邦親王まで149年続いた。 - 室町幕府
足利尊氏が京都に開いた幕府。1336年~1573年。名称の由来は、3代足利義満の邸宅が「室町殿」と呼ばれていたこと。15代足利義昭まで238年続いた。 - 江戸幕府
徳川家康が江戸に開いた幕府。1603年~1867年。15代徳川慶喜まで265年続いた。日本最後の武家政権になった。
箇条書き|4つのメリット
箇条書きを使うことで、以下のようなメリットが得られます。
- 文章よりも目立つ
- 文章が読みやすくなる
- 情報が整理される
- 文章よりも書きやすい
文章よりも目立つ
文章中に項目を列挙するより、箇条書きにするほうが視覚的に目立たせることができます。
大事なポイントは、箇条書きにすることで、読者の目に入りやすくなります。
目立って目に入りやすいということは、記憶にも残りやすくなります。
また、社内文書やメール文で箇条書きを使うと、見落としの防止にもなります。
文章が読みやすくなる
文章を読みやすくするには、余白をうまく使うことも重要です。人は文章を読むとき、いくつかの文字をまとめて「パターン認識」をしながら読んでいます。
文字がギチギチに詰まった余白のない文章は、パターン認識がしにくいので、とても読みにくくなります。
箇条書きを使うと、周りに余白が生まれ、パターン認識しやすくなります。
情報が整理される
箇条書きをうまく使って情報を提示することによって、読者にとって必要な情報が整理されます。
ポイントが整理されるので、何について書かれているのかが一目でわかり、理解しやすくなります。
特に社内文書やビジネスメールなどでは、要点を箇条書きでまとめると、相手に要点が伝わりやすくなります。
文章よりも書きやすい
文章より書きやすいのも、箇条書きのメリットと言えます。
箇条書きは、短い文で書くのが基本です。文章を書くのが苦手な人は、箇条書きのほうが書きやすいと感じるでしょう。
まとめ:箇条書きは読み手のストレスを減らす
「箇条書きの基本ルール」や「箇条書きの種類・形式」について解説しました。
箇条書きをつかって情報を整理すると、文章は格段にわかりやすくなります。また、余白が生まれて読みやすくなるというメリットもあります。
適切な箇条書きは、読み手のストレスを大きく減らすことができます。基本ルールをしっかり理解し、情報整理術をマスターしてください。